2008年10月15日 (水)

庭から昇ったロケット雲

Photo_14どこをどう刻んでも現実的には起こりそうもない非現実的なドラマだが、だからこそ映画にする価値があります。最近の日本社会は映画よりも恐ろしい犯罪や猟奇的な殺人事件が頻繁に起こっています。お年寄りが老後の生活のために蓄えた貯金を騙し取って喜んでいる若者詐欺グループがいる。幼い幼児を裸にして道路に捨てた犯人や、英国人語学教師を部屋に連れ込み殺害してベランダのゴミ容器に廃棄した犯人は逃走中だ!なんとも恐ろしい社会になったことだろう。映画館のスクリーンで観た映画は「本当の嘘」であってほしいと願わずにはいられない。その観点から本作を観ると“ホッ”と息をつくことができる映画だったんです。自宅の農場から有人宇宙ロケットを飛ばすなんて現実的に考えればナンセンスだし、その夫を応援する奥さんと3人の子供たちのなんと幸せなことだろう・・・。映画に不可能はない!観客もそんな嘘に騙されて喜んでいます。どうせつくなら「大きな嘘」を映画にしてください。そんな嘘でいっぱいの本作は拍手喝采なんですよ~♪

【名画座データ】
・2008.10.13(月)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「僕の彼女はサイボーグ」
・1300円(大人)

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僕の彼女はサイボーグ

Photo_15郭在容監督のおかげで<綾瀬はるか>という凡才は、その秘めたる才能に目覚めつつある。彼女の最新作 『 ICHI 』の出来栄えはどうだろうか?女性版<座頭市>の映画化と主演抜擢は間違いなく本作の影響によるものであると感じた。繰り返すがそれは郭在容監督のおかげです。もし本作を日本人監督が撮っていたら、きっと<仮面ライダー>シリーズのような作風に仕上がったと思う。しかし郭在容監督の目線は<綾瀬はるな>から離れることはなかった。彼女をスーパーヒーローばりの演出で撮っていたら本作はコケていただろう。しかし監督は<綾瀬はるな>のキューティーを爆発させることだけに務めた!だからこの映画は<綾瀬はるな>の魅力100%以上で作られている。それが全てだ!「愛らしさ」「サイボーグらしさ」「力強さ」を軸に、もう一人の主役<小出恵介>と暮らし過ごした純愛の行方は怒濤の後半戦、パズルが解かれていくように徐々に姿を現して行く・・・。今後の日本映画界にとり、間違いなく大きな刺激となった作品です。

【名画座データ】
・2008.10.13(月)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「庭から昇ったロケット雲」
・1300円(大人)

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2008年8月10日 (日)

裏切りの闇で眠れ

Photo_28映画『あるいは裏切りという名の犬』をご覧になった方には耐え難い映画鑑賞になったのではないだろうか。フランス裏社会の抗争を描いた本作は、まさに東映ヤクザ映画を観ているようで懐かしい昭和の香りが漂っていた。そしてフランス映画界には、菅原文太さん・松方弘樹さん・若山富三郎さんを彷彿させる俳優が存在することもわかった。とくに裏社会を牛耳るボスを演じた俳優は、こうしたジャンルにはなくてはならぬ個性派俳優だと感じた。そのどこまでもクドイ演技は筋金入り!映画はB級ギャング物で失望したがフランス映画界の底辺には東映ヤクザシリーズと同質で同等な映画を好む土壌が根強くあり、熱狂的なファンが存在することが確認できた。しかしこのポスターには見事に騙されたな~宣伝がうまいよ。

【名画座データ】
・2008.8.10(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「スルース」
・1300円(大人)

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スルース

Photo_29果たしてシュード・ロウが適役だったのだろうか?名画座を背にし帰路に向かう電車の中で疑念がふつふつと湧いてきた。本作は「映画」よりも「演劇」向きの題材です。出演はマイケル・ケインとシュード・ロウの2人だけ!しかも密室劇だ!著名な俳優2人だけに託された脚本の仕上がりは気に入っています。しかし何かが足りないのだ!その何かとは<映画らしさ>ではないかと感じた。やはりこの脚本は演劇向きです。舞台で俳優が演じ、客席では息を殺して演技を見守る観客の姿があってこそ、このストーリーは生きるであろう。(※ちなみに本作は1972年『探偵スルース』のリメーク。出演はローレンス・オリビエとマイケル・ケイン)

【名画座データ】
・2008.8.10(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「裏切りの闇で眠れ」
・1300円(大人)

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2008年7月14日 (月)

リトル・チルドレン

Photo_34良い映画を観たら、とてもレビューなんて書けたもんじゃない。どこをどう褒めればよいのかサッパリわからなくなる。どう書けばうまく伝わるか悩んでしまう。この『リトル・チルドレン』もそんな映画のひとつだ。映画観賞後、本作のテーマは<懺悔>だと感じた。映画に登場する3組の<懺悔>の念を暴き出している。人は誰しも犯した過ちを正当化し嘘で塗り固めてしまうおかしな癖を持っている。それは善人でも、犯罪者でも同質だ。だがその過ちを永遠に正当化することは無理だ。何かの拍子で必ずボロが出てしまうものです。映画の主人公たちは自らが作りだした過ちと向き合うことを恐れ、正当化して逃げることに一生懸命だった。それを演じる俳優陣の演技があまりにも見事だったので映画はどんどん現実味をおびてゆく。脚本、演出、編集、全てが完璧に呼吸を合わせ、無駄のない作品として誇らしげに存在している。「変質者とその母親の苦悩」「不倫関係に墜ちた男女の戸惑い」「元警察官が犯した取り返しのつかない過ち」。映画はこの3組を見えない糸で絡ませつつ、それぞれを<懺悔>へと導いていく・・・見事だ。

【名画座データ】
・2008.7.13(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「譜めくりの女」
・1300円(大人)

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2008年7月13日 (日)

譜めくりの女

Photo_352本立て上映で観た片方の映画『リトル・チルドレン』が素晴らしかったので評価が悪くなったことをまずお伝えする。本作は簡単にいえば復讐劇だ。筆者はその復讐に値する「恨み」のレベルを映像化する価値があるのか疑問視した。ストーリーは、ピアニストを夢見る幼い少女が実技試験本番中に審査員として招かれた著名な女流ピアニストの軽はずみな行為により、リズムを壊され落選する。少女は痛く傷つきピアニストの夢を諦める。時は経ち、大人に成長した少女は偶然にも著名な女流ピアニストの譜めくりのアルバイトとして雇われ復讐が始まる。それが偶然によるものか?計画的なものか?特に映画の中での説明はなく、本作を観る人に委ねられ、その解釈は自由だ。だからあえて問える。この復讐は少女の勝手な思い込みであり、身勝手過ぎる少女の屈折した性格によるものである。そもそも実技試験に落ちたのは著名な女流ピアニストの責任ではない。冒頭の映像を観るかぎり、当時の審査会場を管理していた主宰者側のセキュリティーの問題に他ならない。であれば、この映画は法的には裁かれない「譜めくりの女」の幼稚で低次元の復讐劇となる。そんな映画に付き合わされた筆者は少しムッとした気持ちで名画座を跡にした・・・。切り口がおもしろい題材だったので脚本レベルで揉んでほしかった。とにかく動機が幼稚すぎて映画化に値する題材ではないのだ。ウディ・アレン監督なら極上のサスペンスに仕上げてくれたに違いないと思うと、残念・・・。

【名画座データ】
・2008.7.13(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「リトル・チルドレン」
・1300円(大人)

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2008年6月 8日 (日)

ぜんぶ、フィデルのせい

Photo恥ずかしながら<フィデル>とは一体誰のことなのか?筆者は映画を観るまで知らなかった。その名前の持ち主があの<フィデル・カストロ>だということに気がついたのは本編スタートから間もなくのことでした。フランスで暮らすチリ人一家に突然やってきた「五月革命」の嵐はブルジョワ一家の生活スタイルを一新させた。途方にくれる主人公アンナの目を通して「共産主義とは何なのか?」を説明してくれる映画です。資本主義社会で育った女の子アンナは気が強く負けず嫌いの性格だが、ブルジョワ生活を奪った両親への不満や名門ミッションスクールでの諍いを乗り越え、やがてその純粋で幼い心の中に新しい何かが芽生えていく姿は、実に勇ましいのだ!

【名画座データ】
・2008.6.08(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「once ダブリンの街角で」
・1300円(大人)

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once ダブリンの街角で

Onceアカデミー賞オリジナル歌曲賞を受賞した本作がやっと名画座に降りてきた。気になっていた映画だったのでさっそく観に出かけたが、期待していたほどの映画ではなかった・・・これが素直な感想です。映画というより、無名だが才能溢れるミュージシャンの私生活をドキュメンタリータッチで描いた長編プロモーションフィルムではあるまいか?そのニュアンスは異なるがビートルズが残した最後のアルバム「レット・イット・ビー」のスタジオ収録風景を記録したドキュメンタリー映画『レット・イット・ビー』に似ているかもしれない。それを感じたのは主人公2人が共にプロのミュージシャンという事実だ!彼等は本作のような体験をしたに違いなく世界中で活躍する音楽家も似たような体験をしているはずです。また本作では手持ちカメラの撮影を多様している。プロミュージシャンを夢見ながらダブリンの街角で歌い生活費を稼ぐ主人公の立場を代弁する<映像の質>が現実と映画の<境>を無くしていた。筆者が映画を観た気がしないと感じたのは、そのためだと思う。

【名画座データ】
・2008.6.08(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「ぜんぶフィデルのせい」
・1300円(大人)

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2007年12月25日 (火)

SWEENEY TODD 1997

120722我が愛しい心の映画館「三軒茶屋中央」が来場者に配る手作りチラシがある。10枚貯めると入場が一回無料になります。でもせっかくだから記念に持っている私です。ジョニー・デップ主演映画 『スウィーニー・トッド』が彼の来日と共にやって来ますが、その手作りチラシの中にベン・キングスレー主演の同名映画情報の記載があったので紹介します。ジョニー・デップ主演の映画とはシチュエーションが少し異なるかもしれません。もしこの有名な猟奇殺人事件を知らない人は予習と思って冬休みに学習しておくと楽しさ10倍ですよ。大筋は同じでもトニー賞8部門を受賞した傑作ミュージカルを下敷きに偉才ティム・バートン監督が味付けをした特別ヴァージョン~♪私はX'mas の今宵「試写」を観てきましたが、似て非なる映画に仕上がっていました。映画の感想は次回へ。

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2007年11月25日 (日)

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

Photo_2面白いという噂は聞いていた。オダギリジョーさんや浅野忠信さんの影に隠れ、最近めっきり存在感が薄い永瀬正敏さんが出るのも楽しみだったし、キューティーハニー以後、個人的に佐藤江梨子さんの演技を観ておらず役者としてどこまで成長したのか気になっていたところです。で・・・ついに観ました。想像を絶する面白さに一本取られたって感じ、最近観た日本映画の中ではずば抜けた完成度だ。たぶん原作が凄いのだろうが、脚本を書いた吉田大八監督の演出が細部まで冴えわたっていて痛快!テレビでは絶対に出せない色気がある!お金を払って観ているという満足感がスクリーンから伝わってくる!俳優さんたちの演技からその心臓の高鳴りが聞こえてくる!これこそが映画の醍醐味!出演された全ての役者さんに会って、“ありがとう”と、お礼を言いたいですね。(※田舎のある我が身としては、山間の田舎の虚無さ、どうしょうもない切なさが画面から溢れていたので共感できた)

【名画座データ】
・2007.11.25(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「君にしか聞こえない」
・1300円(大人)

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きみにしか聞こえない

Photoどこまでも純粋なファンタジーだが小説として読んだ方がこのストーリーは読み手の脳裏を刺激すると思った。観てしまって言うのもなんだが、成海璃子ちゃんのために乙一氏の原作をあてがい製作した映画としか思えず、テレビドラマじゃ駄目でしたか?決して悪くありません。ただ、やりつくされた手法だったし、ここ数年スクリーンで似たような映画はたくさん封切られてきたわけで、新鮮味にかけました。エンディングテーマのドリカムもいまいち駄目でした。このストーリーなら曲は提供してもドリカムが唄ってはならず、成海璃子ちゃんがピアノの伴奏だけで唄えば良かったと思う。小説は計算され書かれているが、映画製作自体に原作を上回る力を感じとることは出来なかった・・・。あの桑田佳祐さんの挿入歌も転けて、大ヒットの兆しは映画『恋空』とミスチルとガッキーのみ!

【名画座データ】
・2007.11.25(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」
・1300円(大人)

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2007年10月 8日 (月)

プレステージ

Photo_4名画座におりてくることを指折り数えて待った映画のひとつだが、私の中では転けたかな?悪くはないが、マジシャンの世界を題材にした映画にしては脚本のトリック、その終わり方にやや不満が残ったと言わざるをえない。俳優陣は申し分ない面子が揃い、実在した科学者テスラー役のデヴィッド・ボウイは勿論、素晴らしかった。物語は、水槽脱出に失敗した女性アシスタントの死をきっかけに、二人のマジシャンが互いを憎しみ合い、卑劣な罠を仕掛け、相手を窮地に陥れる暴露合戦が展開される。だが突如として超非現実的なサイエンスフィクションが持ち込まれ、物語は大きなうねりをあげて歪められていく。確かに物語の雰囲気にはマッチしているが、「フランケンシュタイン博士の怪物」、あるいは「ザ・フライ」の要素が紛れ込み、私としては精神的にシックリこなかった。

【名画座データ】
・2007.10.07(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「ストリングス」
・1300円(大人)

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2007年10月 7日 (日)

ストリングス

Photo_3人の手で吊り紐を巧みに操作し人形を操る映画を見たのは本作が初めてだ。人形劇といえば、1973年頃、NHKで大ヒットした 『八犬伝』がある。辻村ジュサブローさんが人形浄瑠璃文楽の伝統美を独自に発展させた人形たちによる人形劇で、紐で吊る形態ではなかった。映画の歴史を見渡してもコマ撮りで動きをつける粘土細工やマペットが主流だ。そもそも吊り紐で動かす人形は制限が多くて敬遠されてきたと思えます。ところが本作は、その最大の欠点である吊り紐に命を与える演出で映画に新鮮な息吹を吹き込んでしまったのだ!脚本は平凡だが、技術的に新しいジャンルを確立したという意味では驚異であり、西洋式操り人形映画の金字塔と呼ぶに値する奇跡の映画だ!ただし日本語版で主人公ハル王子の声を務めた草彅剛君は、ミスキャストだ。SMAPファン御免!

【名画座データ】
・2007.10.07(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「プレステージ」
・1300円(大人)

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2007年9月24日 (月)

ママの遺したラブソング

Photo_2トラボルタの歌声を聞いたのはミュージカル映画『グリース』以来かもしれない。本作で印象に残ったシーンは終盤、川辺に椅子を出して座り、カントリーの名曲「I Really Don't Want to Know」を歌い出した時だった。若い世代は知らないかもしれなが、この曲は菅原洋一さんの大ヒット曲「知りたくないの」の原曲。幼少の頃、TVの歌謡番組を見れば必ず流れていた歌だ。だからスクリーンのトラボルタと一緒に歌えちゃいました♪(笑い)。肝心のストーリーだが、いまいち乗れません・・・。話しとしては悪くはないが、脚本が練れてない気がします。それはまるで、本作の作家志望の男が書く小説のようなものだろうか?なによりもキャストに助けられた映画ですね。その鱈子唇でウディ・アレン監督のハートを虜にして離さない魔性の女スカーレット・ヨハンセン、惨めな初老役で新境地に挑んだトラボルタが実に情けなくて、相棒役のゲイブリエル・マックも微妙~に良かった。脚本がピリッとさえすれば、もっと良くなったと思う映画です。

【名画座データ】
・2007.09.24(月)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「今宵、フィッツジェラルド劇場で」
・1300円(大人)

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今宵、フィッツジェラルド劇場で

Photo『ベルリン天使の詩』の天使さながら、今宵で幕を閉じるラジオホール「フィッツジェラルド劇場」に舞い降りた女の天使(死神)が解雇される従業員たちの最後の舞台を見守る物語だ。しかしプロダクションノートを読むに連れ、これは実在するラジオ公開番組であり、フィッツジェラルド劇場も実在し、司会役で登場するギャリソン・キーラー氏は実在する名物司会者&番組の構成作家だ。世界中にリスナーがいる有名なラジオ番組(日本ではFENで視聴可能らしい)の構成作家が脚本を書き、番組丸ごと映画スターを起用して、アルトマン監督演出の番組を作ってしまった。日本人の私は予備知識がないまま、ただ監督の名声とメリル・ストリープが出ているだけで面白いかもしれないと期待したが、入口を間違えたらしい。

【名画座データ】
・2007.09.24(月)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「ママの遺したラブソング」
・1300円(大人)

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2007年8月19日 (日)

善き人のためのソナタ

Photoいまドイツ映画が熱い!本作には映画『ブラック・ブック』にも出演したセバスチャン・コッホさんが劇作家役で出演している。ハリウッドスターを彷彿させる美男子の彼は一度スクリーンで見れば忘れることはない。映画『ブラック・ブック』のドイツ軍将校役がとても良かったしこれは面白くなるぞ~と期待して見ていたが正解でした。旧東ドイツで日常あたり前に行われていた監視社会「盗聴」。その実態を暴いた本作はベルリンの壁が壊れる約5年前に物語が設定されている。隣人はスパイかもしれない?と疑いをもちながら暮らす旧東ドイツ市民の重苦しい生活感が伝わってくる。本作は若干33歳の新人監督のデビュー作で、裏付け調査に丸4年を費やし脚本を書きあげたという。彼の汗と血の結晶である本作は、旧東ドイツの実態を知らしめる歴史的価値の高いフィルムとしても人々の心に深く刻まれるだろう。ラストは「ジ~ン」ときます・・・。※追記(盗聴をする主人公ヴィースラー大尉役のドイツ人俳優「ウルリッヒ・ミューエ」さんが、去る7/22(日)胃がんのため54歳で死去しました。たぶん彼は自分の死を覚悟し、本作の撮影に命をかけ挑んだと思われる、あの松田優作さんのように。彼の役者としての誇りと、主人公の誇りが重なり合い、ラストシーンの一言はさらに重みを増す)

【名画座データ】
・2007.08.19(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「華麗なる恋の舞台で」
・1300円

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華麗なる恋の舞台で

Photo_2とにかく主演女優のアネット・ベニングが良い。一粒で二度おいしいグリコみたな女優さんだ。喜怒哀楽をこれほどまでに変化自在に演じる女優さんはメッタにいないのではあるまいか?英国のキャストオーディションを勝ち抜いて手にした役だと思うが見事だ!ストーリーも一段落ちと二段落ちで見る者を楽しませてくれる。いやいや拍手喝采~♪映画の最後にジェレミー・アイアンズが「君はモンスターだ!」と彼女を抱きしめるシーンがあるが、まさに怪物でした。(※大人の映画ファンが心から楽しめる映画なので若年層、あるいは大作にしか興味がない大人には退屈だと思います)

【名画座データ】
・2007.08.19(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「善き人のためのソナタ」
・1300円

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2007年7月 9日 (月)

フランシスコの2人の息子

Photo_314どこか『大草原の小さな家』の大黒柱チャールズ・インガルスを想起させる農民フランシスコ。ブラジル人気兄弟デュオを育んだ貧困と家族愛の物語を名画座で観た。毎日ラジオから流れる音楽を子守歌代わりに育ったこども達、すべての運命は父親の音楽好きに起因する。2人の息子を演じる子役の演技と天使のハーモニー♪が映画に輝きを与えている。映画『ドリームガールズ』もそうだがサクセスストーリーは成功するまでの過程が一番面白いのだ。本作も大人になった息子が歌で生計を立てようと再起奮闘する後半から急速に冷めていく。が、父親フランシスコの思わぬ行動で物語は輝きを取り戻す。久しぶりに心が洗われて晴々とした気分になりました。

【名画座データ】
・2007.07.08(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「フライ・ダディ」
・1300円(大人)

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2007年7月 8日 (日)

フライ・ダディ

Photo_315TBS日曜夜9時のTVドラムを見ているようで、果たして映画化する必要性があったのか疑問だ。日本版を見ていないので比較できないが原作は映画『GO』の金城氏!ここは無条件で見てしまった。物語は悪くなく、個人的に好きなシーンも数カットあったが満足できなかった。過去1年間で見た韓国映画の中では最下位だ。サウンドトラックも最悪で、せっかくの物語を台無しにしていた。シリアスな題材をコメディータッチに演出してあるわけだが、それでもフィルムに力がないとすればTV向きの原作だったのだろうか?日本版はどうだったのか?師匠役の青年は映画『王の男』で好演をしただけに失望した。

【名画座データ】
・2007.07.08(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「フランシスコの2人の息子」
・1300円(大人)

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2007年7月 7日 (土)

あるいは裏切りという名の犬

Photo_313もうたまらない。男気熱と骨太ドラマに圧倒され胸がいっぱいになった。実話をもとに元仏警察官がメガホンをとったと知れば興味が湧くのは当然だ。噂には聞いていたが素晴らしフィルムです。個人的には10年前に見たマイケル・マン監督『ヒート』と同格、ある意味で上かもしれない。R・デニーロやA・パチーノが持ち合わせていない個性、演技力、カリスマ性を仏俳優のダニエル・オートゥイユとジェラール・ドパルデューは確かに持っている。また『アイドルを探せ』のミレーヌ・ドモンジョが出ているのには驚いた。すっかりお婆ちゃんになっていたがなかなかどうして輝いていた。ストーリーにはまったく関係ありませんが映画を見終わって、ダイアナ妃が謎の死をとげたあのトンネル事故、そしてパパラッチの群れ、仏市警の事故調査と検死、そして発表。この映画を見てしまったら、あれは事故だったのだろうか?と、考えてしまった私です。とにかくお薦めです!

【名画座データ】
・2007.07.01(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「13/ザメッティ」
・1000円(映画の日)

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2007年7月 4日 (水)

13/ザメッティ

Photo_312知人に薦められて『13』を見た。いや本当に良かった。全編モノクロで撮った意図は本編を見れば誰もが納得するだろう。また画面から伝わってくる緊張感に演出の力量を感じた。低予算でここまでしっかり作り込んでいる手腕をみれば、監督の次作には多いに期待がもてる。早くメジャーデビューしてほしい。ネタバレはやらない主義だが、この映画を語るうえで最低限必要な要素をひとつだけ言わせて下さい。本編の8割をロシアンルーレット・ゲームに費やしている。若干ストーリーに無理があるがあえて目をつぶります!ちなみに本作は【2005ヴェネチア国際映画祭】で新人監督賞の栄誉に輝いている。アイデアひとつで映画はここまで面白くなるという模範的作品です。(※ロシアンルーレットの存在を日本人に知らしめたのがマイケル・チミノ監督『ディア・ハンター』でした。30年前の作品ですが見ていない方は早く見ましょう~お薦め)

【名画座データ】
・2007.07.01(日)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「あるいは裏切りという名の犬」
・1000円(映画の日)

ディア・ハンター ディア・ハンター

販売元:ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
発売日:2007/06/14
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2007年6月 3日 (日)

マッチポイント

Photo_183ウディ・アレン監督といえば1980年代をリードした西武百貨店の広告を思い浮かべてしまう。和服を着たアレン氏が正座をして書を嗜む「おいしい生活」は当時の西武王国を象徴する広告。ちなみにコピーライターは糸井重里さんです。矢野顕子さんが唄った、おいしい~おいしい生活♪も印象的でした。さて本作ですがアレン氏が愛するNYを離れ英国人スタッフで撮影に挑んだ珠玉のラブサスペンス。ドストエフスキー「罪と罰」からヒントを得たと思われる主人公の苦悩をテニスのマッチポイントになぞらえている。米国人女性と英国人元テニスプレーヤーが英国上流社会に迷い込み苦悩する姿を上品に残酷に描いていた。だから「血」も「死体」も登場しない。しかしその観客に想像させる演出がかえって恐怖心を植え付けてしまう。映画界はヒッチコックを失ったが、まだアレンがいる。みごとだ!ポスターも各国様々だが私はこれが一番好き。

【名画座データ】
・2007.5.09(水)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「敬愛なるベートーヴェン」
・大人1300円

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敬愛なるベートーヴェン

Photo_181そこにベートーヴェンがいた。俳優エド・ハリスではなくまぎれもなくルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンだった。アカデミー賞に輝いた映画「アマデウス」はモーツァルトってこんな青年だったんだろうな~で終わっているが本作は存在する!演じる俳優を見るのではなくベートーヴェンを感じる事ができる!その違いが凄いのだ。最大の見せ場はポスターにもなっている“第九”初演のステージです。写譜師アンナがオーケストラピットに座りベートーヴェンに指揮の指示を出す撮影だった。指揮者が二人いるなんて前代未聞だが難聴のため指揮棒を振れないベート-ヴェンにオーケストラをコントロールする指示を与える重要な役割・・・それは大変な撮影だったと思えた。しかし二人の俳優は演技の域を越えてみごとにオーケストラを支配した。願わくばエキストラで参加したかったしこのシーンを見るだけでも価値のある映画だ。久々に音楽で感動できました!

【名画座データ】
・2007.5.09(水)
・三軒茶屋中央劇場
・同時上映「マッチポイント」
・大人1300円

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